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馬、羊のスチールロケ記 -シリンホト(錫林浩特)編-2

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シリンホトはフホホトから距離にして約700キロ。
 車で9時間の旅は、フホホト市内を抜けると信号もなく、果てしなくまっすぐ続く道をひた走るものでした。 道路の両側には恐らく以前は草原だったであろうはずの大地が横たわっています。 石や砂の合間にわずかに生えている草。それを争うように食べている痩せた山羊たち。 行けども行けどもそうした光景ばかりが続き、本当にこの先緑豊かな大地が待っているのか不安は募るばかりでした。 

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まるでハイウェイを走っているかのように100キロ近いスピードを出して疾走しながら、燃料費を惜しむためか給油場所がないことを懸念したかはわかりませんが、蒸し風呂のようになっている車内でもドライバーはクーラーをつけてくれません。「暑いよ」と言うと、窓を開けてくれるのですが、後部座席の我々は顔中砂にまみれるだけ。 たまりかねて窓を閉めてクーラーをつけてくれというと、ちょっとつけてはすぐに止めてしまうのです。 途中からは我々の乗用車以外に他に走る車も見かけなくなり、万が一こんな所で車が故障でもしたらそれこそ目も当てられないと考え、仕方なく黙って蒸し風呂に耐えることにしました。 

―砂漠化が進んでいます― そんな言葉は日本でもよく聞いていましたが、実感として考えたのはこのシリンホト行きで初めてです。 もし、空路でシリンホト入りしていたら、もしくは汽車で入っていたらあまり考えなかったかもしれません。 
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車で移動していたので、私たちは道路の途中でドライバーの休憩もかねて何度か車を止め、カメラマンはその砂漠化した惨めな土地を撮影しました。 「この大地を元の緑豊かな土地に戻すのには100年かかります。」とガイドさんは言います。 
「現在、政府は山羊や羊を飼っている農家が草を求めて移動することを禁止しています。 彼らは決められた土地の中でしか放牧できません。だから、山羊たちがあんなにやせ細ってもここのわずかな草しか食べるものがないのです。 でも、もし、草を求めて移動することを許可したら、今、豊かな草原もあっという間に砂漠化してしまいます。」とも話してくれました。
ため息しかでない。 自分は無力だなとつくづく感じました。

話は飛びますが、日本に帰ってきて砂漠化について調べたところ、中国内モンゴル自治区においては乱開発、乱伐採、定住化政策による過放牧、地球温暖化など人為的な破壊、人口増加や気象変化の原因で年間約700㎢が砂漠化し、世界的な規模で見ると1年間で九州地方と同じ面積、つまり約42,000㎢の土地が砂漠化しているとありました。 これまで数字を見てもぼんやりとしかイメージできなかったことが、あの惨めな大地の姿を思い浮かべることで強い痛みと共に実感として湧いてきます。 
  同時に、日本でも多くのNGO団体などが、ボランティアで内モンゴルの植林に取り組んでいることも知りました。 毎年、5,6月になると中国から黄砂が飛んできます。 お隣の国の問題だと言うのは簡単ですが、国境を越え力を尽くしている人たちが大勢いることに希望を感じました。 最近は中国でも環境に対する意識が急激に高まっています。 この話はまた別の機会に書きますが、内モンゴルでも乱伐などに対しては政府の取り締まりより、市民の目の方がずっと厳しくなっています。環境を守るためには、市民の力の方が有効なようです。 
 さて、話が脱線してなかなかシリンホトまで着けません。 次回は必ず・・・。

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