四川省大地震前の風景― 2度目の九寨溝ロケへ
2007年12月、つまり四川省大地震の起こる半年前に、私はテレビ東京の「地球街道」という番組のロケハンとロケで2度ほど成都から九寨溝に向けて車で移動しておりました。
ロケハンは、11月1日から10日間でした。
成都から九寨溝までは直接行けば車で7時間くらいで着けますが、ロケハンなので、まず臥龍パンダ研究センターなどに寄ってリサーチをし、地震震源地のブンセン(「ブン」はさんずいに「文」)より北の「茂県」という所で一泊して、次の日さらに途中、「松藩」という古都をリサーチして、九寨溝まで行くというルートでした。
写真の湖は「畳海子」という湖ですが、これは「茂県」を過ぎて更に九寨溝寄りにあり、ドライバーの休憩所のようにもなっている所でした。きれいな湖だなと思って見とれていると、地元の人が「これは1930年代の大地震でできた湖なんだ。」と教えてくれました。目の前の美しい湖と、大地震という破壊行為がうまく頭の中でつながらず、尚且つ観光名所になって賑わっている様にギャップも感じて、「地震でできた湖」という意味が捉え切れてなかったように思います。
まさかその半年後に、この辺りにまた同じような大地震が起き、新たな地震湖ができるようになるとは当時は夢にも思わずに・・・。
地震速報で四川省「ブンセン」の文字を見た衝撃は忘れられません。「えっ?!ついこないだロケした所じゃない?」自分がつい最近訪れた場所であり、車で移動したために飛行機では見られなかったであろう数々の印象的な風景が一瞬にして頭をよぎったのです。思い出すのは、高速を下りてからしばらくして始まる一本道。この道は九寨溝までつながっていますが、うねうねと続く山道で幅も狭く、カーブの度に対向車とぶつかる恐怖におののいた所でした。平行して走るのはまだ建設中の高速道路のみです。この高速道路は完成まであと2年かかると言われていて、所々、つながった箇所をドライバーが抜け道として使っていました。一本道の両側は河をはさんで聳え立つ山か、断崖絶壁でした。今思い返すと、あの山をぶち抜いて作ったトンネルも道路もなくなってしまったのでしょう。
ニュースで陸の孤島と化していることを聞いて、当たり前だと思いました。道がないこともそうですが、切り立った岩のような山だったので、あの岩石が落ちてきて道をふさげば行くことも戻ることもできません。
茂県に1泊した時、夜食事をして散歩していると町の広場で住民が楽しそうに輪を作って踊っていました。写真がなくて残念ですが、民族衣装を着たチベット族の人たちもいて、漢族もみんなで恐らくほぼ毎晩ここでこうして踊っているんだなとわかります。
お酒やカラオケやダーツなどに興じる日本の都会の娯楽より、なんだかほのぼのしていい感じなのです。本番で再度訪れた際も、やはり広場でみなさん踊っていて、事前に知らされてなかった俳優さんもビックリしながら、でも輪に入って一緒に踊り、町の人もカメラがあるからと気にする風もなく違和感を感じていないようでした。
あの人たちは無事だろうか、町は再興しただろうかと気にかかります。
またチャンスがあれば、是非、九寨溝へロケに行き、かの地を訪れてみたいと考えています。